春休み中、融雪が遅れて気をもんでいた野球のグランドの除雪を、中学生の長男に頼まれて(押し掛け半分で)トラクター出動しました。
トレーニングと称して新2、3年生は精力的にママさんダンプやスコップで排雪をしています。去年の今頃は長男のモチベーションが全然上がらず応援に行く気にもなりませんでしたが、(そもそも、そんな時間のやりくりができなっかたです…)“今年は違うぞ!”を予感しました。
【やる気の条件】
中学校のPTA総会の後段、校長宅にお呼ばれした席で、野球部後援会の父兄が集まると、案の定同じ想いの父兄がいて、少年野球談義に盛り上がりました。
頃合いを見計らって、監督(野球部担当の教員)が
「ひら農園がスポンサーで、バッティングマシーンを買っていただけないでしょうか?」
と、話をしてくるのです。
聞けば40万円。もちろん、ふたつ返事と言うわけにはいきません。
アルコールも手伝って
「買ってやらないわけではないが、条件がある!」
と、大風呂敷をひいてしまいました。大半の親はお酒が入っていたのですが、監督は下戸。気をよくした監督は、後日部員達に報告し、すっかりその気にさせてしまったのです。
さて、その条件というのは〜
“『やる気』を見せて欲しい”ということでした。
たとえば、夏休み中一日も欠かさず全員で、ひら農園の朝穫り野菜(サヤインゲン、サヤエンドウ)の収穫を手伝い、ランニング(往復8Km)でグランドに帰った後、練習するという合宿プランだとか…
つまり、欲しいからと言ってハイそうですかーと、すぐに買って与えることはしませんと…(それでは子供のおもちゃと同じです。)
今の、メンバーの少年団野球の頃から関わった親として観ているから余計そう思うのですが、たとえ下手くそでもいいし、マケ負けチームでもかまわない。でもそれを上回るやる気は、子供達の伸びしろを大きくするのです。それは応援するものにとっても、また取り組む本人達にとっても快いものです。
ましてやチームスポーツならその達成感は表現しきれません。だからそのたとえ話しは、“道路の空き缶拾い”とか、“除雪奉仕”とかの社会貢献や地域奉仕でも良いと思いますし、そういう者に対して、しっかりサポートしてやらなくては…と、応援者は声援を送ると思うのですが…
ところが後日、野球部後援会の総会(私は所用で欠席)が行われ、監督は“ひら農園の収穫手伝い”のたとえばのみを報告提案をしてしまって、主旨を理解されていない父兄からは『うちの○×ちゃんは、そんな早起きは無理だし、農作業なんかできない。(させれない?)そういう者はマシーンで練習できないのか?(使用する権利はないのか?)』
などの意見が出たというのです。
私は、あくまでも善意でマシーン購入のプランを提案しているのであって、完全にボタンが掛け違ってしまいました。そもそも、子供達の“やる気”に応えるサポートを大人がどう取り組めるかが、この話の根幹だったはず。
だいいち『早起きはできない〜』はそれこそ本人のやる気の問題ですし、その意欲の萌芽を助けるのが後援会の努めだと思うのですが…
少なくとも、今の段階ではこの話はゴワサン。
監督には酒の勢いとは言え悪いことをしてしまいました。情熱をもって取り組む指導者が貴重な社会体育環境のなかで、もう少し上手くやれる方法があったと反省しています。なにより、いちばん可哀相なのが子供達…いずれ何とかしなくては…
【野球議論】
さて、政策議論で、野球に例えての話を引き合いに出すと、それを聞いたり読んでいただいている方から
「野球がお好きなんですね〜」
と言われて、悦に入っていたりします。
農業においても、そのプロ度を評価する産業政策がいわゆる“経営安定対策”であり、それらの諸施策について、一昨年来(H16)の審議会、企画部会をとおして議論は出尽くした感はありますが、最大公約数は決して大きくありません。
ただし、キーフレーズは“プレーヤーのやる気”であることは間違いありません。
そういう認識であることは霞ヶ関も、大手町も(大手町は一部かも…?)一致していますし、“やる気”のあるものに対して例えそれが下手くそでも、マケ負けでも国民はエールを送りたいと思っているのです。その風を一番前列の真正面で受ける立場として、その期待度の高さにどう応えるていくか…責任は大きいですが、それはまた“プロ”の腕の見せ所でもあります。
また、やはり“プロ度の評価”という表現には、業界内(特に都府県の兼業零細農家)からの大きな誤解と反発があるのも事実です。どうすれば解ってもらえるのでしょうか…
北海道主産地の責任ある担い手として、この球春の季節に決意を新たにするのでした。
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