《続・新風青嵐の放談コラム》愁冬の11月号

土根にはえ、風と生きる

「みんなのうた」

 美味しいものがわんさか食卓にのぼるこの季節は、例えば宅配便で送られてくる果物の皮むき係なんかは私の仕事だったりします。梨、柿、リンゴ、みかん…(みかんはそれぞれか…)
 そんな、食欲の秋のせいか、夏中敢行していた“ミニトマトダイエット”の成果も、リバウンドしてしまいました。まさに、冬を目の前にしてメタメタメタボリッキー(タイムボカンシリーズの悪役みたい…)の晩秋です。

【ザッツ エンターテイメント ショー】
 この時期、土曜日曜となると事業や行事が目白押しです。
 学習発表会、秋季剣道大会、芸能芸術祭、PTA研修事業…

 準備、本番はもちろんギャラリーだったり脇役なのですが、反省会となると、
やれ
「三蔵法師の衣装は素晴らしかった。」
だとか、
「メロスのコール隊は田口トモロオ風でよかった。」
だとか、
「グレン・ミラーメドレーはスィングガールズを見てやらなきゃ…。」
(内輪ネタばかりでごめんなさい。)とかで、盛り上がって結局最後はカラオケ大会に突入するのが今までだが、もう最近は以前ほどマイクを握らないようにしています。
(他のお客さんに迷惑をかけている…らしい…マダムヒラリー弁)
 もちろん、自身のカラオケ好きはごく一部の方しか知られていませんが、北海道ソングはバリエーションが広いので東京や地方都市に行っても“北海道のひらさん”を印象づけるには余りあるカラケーションを展開することになります。
 愛唱歌といえば、『道青協版用語集』にあるように、“大空と大地の中で”とかの北海道関係者ソングや、アニメっ子だったからいわゆる“アニメタル三部作”なんかは傾倒度は深いです。

 H16、全青協の理事の時、メルマガの役員紹介の一言で投稿したのも“歌”ネタだした。

−【歌三題】−
 “なんとか青年部”の会長ではあるが、来年はもう40歳の大台。体型も、髪の毛も、頭の中身もまさに“中年”で、特に『うた』で涙腺がゆるむことが増えてきた。

《その1》『地上の星』
 例えば、『プロジェクトX』(某N様:火曜夜)のあの挿入歌のイントロだけで泣けてしまう。最近、田口トモロオ風の語りをマスターしたので中学生の子供達と盛り上がるのだが、オープニングはおじさん的に堪らなくなる。(ちなみに中島みゆき氏は北海道出身で『地上の星』は“ひら劇場”の主題歌でもある。)

《その2》『君をのせて』
 例えば、子供達の合唱コンクールや、学芸会で『天空の城 ラピュタ』(宮崎駿監督)の『君をのせて』は反則。特に手話付きだったりしたらおじさん的に号泣ものである。イントロのあの木琴が胸を締め付ける。歌い終わって会場が明るくなるとちょっと恥ずかしいし、ハンカチが乾く暇が無くて困惑する。

《その3》『世界にひとつだけの花』
 例えば、自分にとっては本年三月に100年で閉校した我が母校でもある、小学校の最後の卒業生を送り出した時の唄。この曲が流れるとあの時の情景が鮮明に思い出されて、おじさん的に胸につかえてくる。涙、涙の卒業式、閉校式。先生も、在校生も、卒業生も、送り出す親や、地域の人たちも皆目が真っ赤だった。まだ一年経っていないのに、もう随分昔のような気がするのはこの唄の曲調が妙に哀愁のあるセピアチックな部分があるからかも知れない。

【誰だ?“痴情”なら売れる…なんて言った奴は】
 好きな歌と、得意な歌では微妙にその落差があって、『地上の星』は好きで得意な歌のひとつですが、昨年度は、家の光協会の理事だったこともあり、JA青年部機関誌的「地上」の愛読運動を先導する立場にあったので…、というのは後付ですがやはり内側からフツフツと沸き立つものがあります。

 ところで…
 先日、トラクターのラジオからながれる歌に雷にうたれたように痺れてしまいました。
 特にファンということでもないですが、これも中島みゆき氏の曲“宙船”。
 TOKIOが楽曲の提供を受けていることを後で知りましたが、先に中島氏のオリジナルを聞いてしまっていてこの破壊力の凄さに、唖然としてしまいました。
(ちなみにちょっと前になるが、TOKIOの新メンバーに選ばれて、解散コンサートをどこかの中学校の体育館でしている夢をみた。どなたか、夢占いをしていただけないだろうか…?)

 特にサビの部分の
『お前がきえてよろこぶ者にお前のオールを任せるな!』
〜には心臓をえぐりとられる程のショックを受けて、なぜか涙が止まりませんでした。
 もう少し早くこの歌詞に出会っていたら自身の人生がちょっとはかわっていたかもしれない…、なんて相変わらず勘違いヤロー的に想いめぐらしてみたりしています。
 ただ、この歌は唄える歌ではなく、やはり好きな曲の部類になってしまう…カラオケ好きには一度は挑戦してみたい歌ではあるけれど…

【紅白歌合戦】
 年末も近くなると、カラオケ機会も多くなりしかも時期が時期だから紅白歌合戦形式で歌い込んでしまうことも…
 相手が演歌の上手い男性(某現全青協会長?)だったりしたら、がぜん対抗意識を燃やして演歌の女王シリーズやポップス、歌謡曲やソールフルな女性歌手をセレクトして“赤組”になってヤンヤの拍手喝采を受けるのですが、さすがに“天城越え”はオリジナルキーではつらくなりました。

 もちろん、順番がいつ来るかわからないほどの人数では困るのですが、やはりある程度人数が確保されたほうがよろしいよで…

 ある時、藤木マネジメントで銀座のホステスさん達と結婚以来十何年ぶりかの合コンをすることとなり、いい歳のオジさんは完全にテンパりましたが、二次会のカラオケはなぜかとても楽しかったことを覚えています。ただし、覚えているのは楽しかったことだけで、何を歌って楽しかったのかは忘れてしまいました…
(このあとで、こってりとヒラリーに絞られる羽目に…)

 これが、二人きりだとどうでしょうか…?
(そんな経験はないけれど…)
 何か良からぬ妄想がムクムクと脳下垂体の本能野を刺激しますが、例えば、“忘れていいの”を谷村氏みたいに後から手を…というのはやはり反則です。
(そんなことしようとも思わないけれど…)
 しかもあのデュエット曲、以外とハモルの難しいし…(いや、歌ったことないからわからないし…ホント)
 今年もそんな季節がすぐそこまで来ています…
(←なんか、ごまかした感じだぞ…)

【飛行石の結晶】
 『君をのせて』は “天空の城 ラピュタ”のエンディング挿入歌で、この作品はいわゆる血沸き肉躍る少年少女の冒険活劇を余すことなく表現した宮崎アニメ中、自身が最も好きな作品です。

 ちなみに“続・放談コラム”の表題、
『土根にはえ、風と生きる』
はこの作品のヒロイン、シータが幼少時住んでいたゴンドアの谷に伝わる詩、
「土に根をおろし、風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春をうたおう。」
から綴り色直しをしたものです。

 シータは対峙するムスカに向かってこう続けます…
「なぜ、ラピュタが滅びたか今わかったわ…。どんなに恐ろしい武器を持っていても、土から離れては人は生きられないのよ!」

 近代文明の発展や享受する豊かさと引き替えに、失ってきたものが何であるかは大地に根をおろし、その土塊を噛むものでなければわかり得ません。
 ネクタイをしめて革靴を履いて会議に出ていても、私は土を愛する農人なのだ…に通じるフレーズです。
 こんな想いを横糸にして、子供達が力一杯この曲を歌い演奏するとき、もう溢れるものが堰を切って止めることが出来ません。

【愛機よ、はたらけ!】
 フェンダー越しに子供達の成長を見守ってきたナイトショット機能付きのビデオカメラは、時折溢れるものがさえぎり実像をゆがめてしまうのを、ありのまま記録して記憶補完する器材になりますが、『君をのせて』を演奏した閉校年の時、同級生が一人もいなかった当時小3の次女は来春16名の同級生と共に、小学校を巣立っていきます。
 卒業式の時、おそらくこのビデオを握りながら溢れるものを堪えるのでしょうが、もし、『世界にひとつだけの花』が、ながれてしまったら、そのままレコーディングを続けることは出来ないと思います…

 まだ、他の楽曲でも涙腺が緩むのは感受性が磨かれたのではなく、単に歳をとったから…?
 そうは、考えたくないですが、それもしかたがないことかもしれない…

 だからといって、自分のオールは見失ってはいけないと思うのです!

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