見知らぬ異性が夢にでてくることはないでしょうか?
なぜか、親しみがある…、自分には似ていないのにもう半分の自分のような…、遠い昔に出会っていた恋人のような存在。そんな異性に…
寡黙にしばれを運んでくる12月の深夜にそんな夢をみました。
夜半から降り始まった雪はたぶん根雪になるでしょう。
明朝には何もかもが新雪の銀色に染められ、その夢は細かい断片になり埋もれていく…
不思議な夢と同調して記憶の細道は幾重の路地に複雑に入り込み、また眠りにつく間のわずかな時間に懐かしい引き出しの奥を探求するのです。
【心深く秘めた想い…♪】
その年の12月は暖かでなかなか雪が降りませんでした。
でも、クリスマスには信じられないくらい真白な雪が降り積もりました。
2学期終業式の前日…、学校の玄関をでる時、担任の先生が皆を見送ってくれました。
この時、僕らにとって敬愛する先生が心なしか少し老けて見えたのは、安穏として穏やかな巣から旅立たなければならない雛鳥を、見送る親鳥の淋しそうな視線を恩師のそれに感じたせいかもしれません。
外は雪…降り始まったばかり…
でも、勢いよく積もっていきます。
足跡が降り積もった雪の上に点々と連なって…それぞれが行かなければならないそれぞれの道に向かって…
寮に帰る道すがら外灯に照らされる大きな雪粒をみて、僕らに残された時間に静かに積もっていきそうで胸がシクリとしました。
もう、僕らが僕らとしてこうしていられるのもあと、2ヶ月と少し…
なごり惜しい気持ちで、卒業文集を仕上げていきました。
作成に携わるメンバーをどうやって決めようか…
でも、結局集まってみるとやはりいつものメンバーだったような気がしました。
試行錯誤でした…斬新に色んなものに挑戦しては、やり直していきました。
大切に大切に時間をかけて真正面から卒業文集に向き合いました。
僕はいつもメンバーの“中”にいたけど、“中央”にいることはあっても、“中心”にいるのは性分じゃないと思っていました。頼られていたし、応えることを責任としてそれを全うする達成感は心地よいものでした。
でも、本当は自分に向いていない…、大切な人達に嫌われるのがいやだし…、臆病なのだと思いました。
だから、自分と自分の周りを冷静に見られる場所にいつも自身を置いておきたい…
自分にも、他人にも少し距離を置いた場所…その場所は不意に後から押さえつけられそうな恐怖感に苛まれることがありません。
解放された自分は自由です…
自由は楽しい…
そんな僕をある人は「ずるい…」と言いました。
「貴方は皆の中心にいて、皆を引っ張っていけるヒトよ…」
恥ずかしかった…、苦しかった…、情けなかった…
でも、そんなふうにいってくれることが嬉しくて、だから、この卒業文集は中心にいて真剣に心を込めて創りたいと思いました。
ずっとこの友を大切にしたい…、ずっとこの友といられたら…、級友達は皆同じ気持ちだったでしょう。
携わるスタッフはそんな想いを共有共感して、ホワイトクリスマスになったその日に最終稿をあげていったのです。安堵と淋しさのせいで降り積もる雪が一層切なく思えました。
その雪を僕はたぶん忘れないと思いました…
高校3年の12月、今もよく聴くクリスマスソングが流行っていました。
【凛と…】
当時、青年だった恩師の歳を僕らはいつの間にか追い越してしまい、僕らも大人になり、父になり、そして我が子はその雪をあのころの僕と同じ想いでみるような歳に近づいてきました。
自身の母校でもあるその高校の入学願書の保護者名に自分の名前を書き込むとき、なぜか、もう半分の自分の中にいる異性がペンを握る手を、介添えしているような気がして心強かったりして…
たぶん、夢の中でしか会うことが出来ない「彼女」のような存在に、いつも守護されてきたのだと思います。そしてその彼女は間もなく巣立とうとする子供達をも、後からそっと慈悲の目で見送り見守っていてくれるのだと…感じました。
そういえば、その視線の力強さは「ずるい…」と言ってくれた級友のそれのようであり、その優しさは出会うべきして出会った愛する人のそれのようでもあります。
あれから、12月の雪は何度も僕の心に降り積もり、とけていきましたが、変わらないのは雪の白さだけで、でもその白さは自身の心に溜まるくすむ色合いとは裏腹に、年々純白の度合いを増しているように思えてなりません。
今年の雪は、だから…、でも…、なぜか特に白いように感じます。
【リンクがねぇー】
相変わらず、今年もやり残したことだらけ…
でも、多くの出会いからたくさんのエネルギーをいただきました。最も大きな収穫はそんな出会いを通してたくさんの人を好きになったことです。
来年はそんな、大好きな人たちの笑顔に応えることができる年にしたい…
愛する者の笑顔と共に、良いお年をお迎え下さい。
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