《新・新風青嵐の放談コラム‘07》美村号響の春の臨時号

森羅の夢に果てるまで

「田舎には田舎のやりかたがある…」

【明日は投票日】
 あらためまして、皆様から新年度中学校PTA会長に選任をいただきましたこと感謝いたします。…ですが、ここにたつとき前会長ほどはたしてできるものかどうか…今更ながらでありますが、その重責にこの小さい胸が押しつぶされそうになります。
 また、新役員、見ますと随分フレッシュになりましておそらく、役員の平均年齢はかなり若返ったものと思われます…が、残念ながら平均体重は上がってしまいました…

 貴重な時間ではありますが、就任にあたり所信表明のなにか…と思っておりますので若干お時間をいただいてお話をさせていただきます。

 話題提供なのですが、週中に釧路への出張がありまして、その帰りに知っているヒトは知っているのでしょうが、白糠に美味しいラーメン屋さんがあるのですが、そちらで昼食を…と、思っていたところ少し時間を余しまして、白糠―本別線(国道274、392号)沿いの酪恵舎というチーズ工房をのぞきがてら、車を走らせました。
 何年ぶりか…だったのですが…
『嗚呼、あそこも…、ここも…』
 酪農家の離農廃屋・廃墟施設がそここに点在するのを、何か言い知れぬ焦躁のおもいで眺めることとなりました…。もう、集落単位で地域が枯れかかっている…、この国は、人間で言うと指先、つま先から壊死している…地方から、田舎から、山奥から枯れ進んでいることを実感せずにいられませんでした。
 特に象徴的だったのが、おそらくは利活用されていない学校跡地でありました。その廃墟群を想うと、今更、地域振興政策で強力なカンフルが打たれたとしても、もう間に合わないのではないか…そんな、印象を強くするのでした。
 そんな、想いで帰宅してみて
『十勝は、屈足は、まだもう少し大丈夫なのだろうな…』
と、想ってはみたものの、省みると新得町、隣の清水町とこの5年間で小学校が9校、統廃合になっているのです。そして、その9校の閉校年の児童数、全てあわせても200名に満たないのです。

 こんなことを、10年前、20年前…いったい誰が想像したでしょう…

 そこに人が住み、産業が興り、そして子供が生まれ育つ…、子供がいればそこには学校がある…。そんな当たり前だったことが、20年たって当たり前ではなくなってきた…。それは変だ、異常だ…と言われてきたことが10年たって異常ではなくなってきた。

 悲しいことです。苦しいことです。

 しかし…、私たちの背中と流す汗を見て育つ子供達の、夢を枯らすわけにはいかない!

 この時代に生きる当事者として、子供を持つ親として、地域に関わる産業人、地域人として皆さんと共に何かできるはずだ…、何かやらなければならない…、そんな危機感を共有して、ではどうしたらいいのか…を、議論し、よし、やろう…と、実践できるPTAにしていきたい…。そこに皆さんのお力を貸していただきたい。

 本年、小学校は開校以来の複式学級が発生しました。小学校のPTA副会長として、一方の当事者の立場から地域の学校教育、社会教育について考えさせられる、考えなければならない新たな時代が来たことを確認したいと思います…し、中学校には関係ない…、なんてことではないはずです。

 思いの丈の取り留めのない話になってしまいましたが、子供の笑顔を正面に見て、愛する故郷とある学校づくりに、会員一人一人の声を基礎にして積み上げるPTAの活動に皆様の協力をお願いし、期待をいたしまして、明日の町議会議員選挙、よろしくお願い致します。

〜新得町立屈足中学校 H18年度PTA総会、新会長就任挨拶から(4/21)〜

【おねがいします、おねがいしま〜す!】
 PTA総会は、議長も頼まれたので自分でしきって、自分で挨拶…
ちょっと格好悪かったですが、この春から新一年生の反抗期の次女が中学生となりPTA会長として、子供達と、先生達と、また角度の違う目線で地域と関わることとなりました。

 総会の会場…
後の席に陣取るお母さん達は総じて建設的な意見など言わないくせに、私語が多かったりします…(特に悪意や敵意は無いけれど…)それでも、グソグソになりかけた時、
「静粛に…!」
〜に、一応は言うことを聴いてくれる優しい人妻達です。

 おりしも、翌日は投票日…選挙カーのマイクボリューム満開にして
「最後のお願いにまいりました…!お願いします!お願いしま〜す!」
〜の連呼に、
「あんたらが、一番うるさいよ!」
〜を、突っ込みそうになって思わず苦笑い…

「社会福祉を充実させ、地域産業の活性化をはかり、少子高齢化問題にも取り組み…」
もう、何でもあり、言っちゃった者が勝ちの世界。
 そこまでおっしゃるのなら、ついでに学校教育改革や、
『郷土愛を育む社会科教育の重要性から“戦後教育”の総括について特に、歴史認識は…だ、と思う!』
〜も、言及されたらいかがか…?
 もっとも、もし本気でそれを考え訴えたいのなら、学校、病院周辺施設では“しずか〜”にしていなければならないのだけども…

「あの選挙カー群、はたしてどれだけの意味がありますか…?公開討論会なんかの方がずーっと有効でしょ?」

同じ様なことを考えていた(前日、ヒラリーと激論になったのでタイムリーだった)釧路の某Y新会長に、
「田舎の選挙は“どぶいた”だよ、政策なんて二の次。
…で、それが“田舎”のやり方で〜
『田舎には田舎のやり方がある!ヒラのじゃ札幌や東京では通じるかも知れないが、田舎じゃあダメだ!』
…を、言っているお父さん達の、一種のエンターテイメントみたいなものさ…
でも、それをおかしいと思わないでいると気がついた時は、田舎にはもう何もなくなっている…学校も、病院も、産業も…
立ち上がらなければならないのは、君たちのような若者で僕たちのような実践者なんだ…!」

 無くなりかけているものはまだあります…若者達の想い、子供達の夢、地域の絆、豊かな大地、そして愛するものの笑顔…。

 選挙が終わったとたん、その“田舎”には号声がこだますることはありませんが、かわりに大地を耕すトラクターの轟音が途端ににぎやかになってきます。

 植付が始まったこのジャガイモ達が収穫される頃…
私たちは笑顔でいられるのでしょうか…もちろん、大好きな人達を溶かすような笑顔でいたいと思っていますが…

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