《新・新風青嵐の放談コラム‘07》渾身拳上の望春号

森羅の夢に果てるまで

「今、こうしている間にも…」

 2/13、14日
 JA青年部全国大会では、活動実績発表でJA芽室の単組の皆さんが、青年の歌ではJA清里の伊藤君、清水君が惜しくも最優秀賞は逃したものの、北海道らしい空の高さと大地の温もりを感じる発表とパフォーマンスに会場から、そして北海道の同志から惜しみない拍手が送られていました。
 その努力に賞賛を送るとともに、悔しさを胸に新たな挑戦を続けて欲しいとエールを送りたいとおもいます。
 さて、その後段の2/15、酪農畜産政策・価格対策第3次中央要請集会に参加して〜

【悲痛な叫び】
 北海道集会(衆議院第2議員会館)では北農中からの説明に参加者から、
「国の予算があろうが無かろうが、我々には関係ないんだ!俺達ウシ屋が、食っていけるかどうか…このままではやっていけなんだ!」
は、まさに現場の悲痛な魂の叫びに他ならない…他ならないのだけれど…

 九段下のホテルグランドパレスで行われた全国代表者集会の移動は、釧路地区の盟友になりすましバスで移動して、全青協次期会長候補の竹村理事の意見表明に声援を送り、再びもどる衆議院第2議員会館は、今度は北海道自民党の代議士会の皆さんを迎えて青年代表は酪畜担当の堀副会長!
 色々と、プレッシャーはあったでしょうが、淘汰され生き残った担い手が、なぜこれほどまで苦しまなければならないのか?その現状を現場の声でしっかりお伝えしました。

 乳価も加工原料乳補給金単価の見直しも、昨春からの急激な飼料代の高騰で賄いきれない異常事態。
 昨春からの異常事態と言えば、自殺するやら、絆創膏やら、一週間持たない統轄大臣達がころころ変わってしまう省庁なんかが、そもそもまともに仕事なんかできるわけないんだけど…
 そんな冷めた目が現場にあることを、要請集会に駆けつけてくれた北海道自民党のセンセイ達は、どんな風に受けとめていたでしょうか?
 センセイの「場合によっては政治的決断も辞さない覚悟でのぞむ!」
…の、挨拶をどこまで信じていいのでしょうか?そして、はたして納税者はそれを認めてくれるのでしょうか?

【それぞれの悩み】
 帰りの羽田空港までは十勝の関係者に変身して節操のないところをさらけ出しましたが、関係者の皆さんにお世話になりながらのバス移動、飛行機の道中は道女性協の河田会長とご一緒させていただきました。
 河田会長自身も、酪農家でこの上京時に息子さんがインフルエンザで入院したらしく、一人で搾乳作業をしているご主人が心配の様子。お兄ちゃんやお父さん達よりも、やはり家を空けるとなると女性は大変なことをあらためて思うのです。

「組織代表で東京に出てくると、時々闘う方向が間違っていないか?と、悩むときがあって苦しいですね。」
「ほんとね、どっち向いてやってるのか…中央会も、お役所よりもお役所ぽっかたりしてね!」
「たしかに…ただ、限られた予算を結局南北戦争にしてしまって、最後はだいたい北が我慢して終わり。やることやっているのに、格好いいこと言ってみたところで予算が来ないんじゃ…なんか報われませんよ!」
「そう…でも、家畜飼っている以上、毎日餌はやらなきゃいけないし、搾乳だってしなきゃいけない…とにかくやらなきゃいけないのよ、酪農家は…」

 JAマンの在り方や、地域の社会福祉のこと、教育行政や子育て、会議時のおしゃれや家族のこと…色々な悩みを、お互い吐き出してみるのでした。

 北海道自民党の代議士の皆さんを前にして、
「『最後に会場から』…に、やっぱり、なにか一言いえばよかった…」
…の、河田会長の想いを色々交錯させて、ふとよみがえることが…

【抱いた夢が努力で叶えられること】
『…私達は、しょぼいからナントカしてくれ…と言っているのではありません。
私達の主張は、現場の人間が、けして故なき不条理に会わず、自身の抱いた志や夢を、自身の努力と工夫で叶えられることができる。そんな者達を、公正に評価する制度設計、政策環境を望んでいる…ただそれだけなのです。』
 H16年7月、東京九段下、前日大手町は39.5℃を記録する猛暑の中、基本政策確立全国集会で、北の青年農業者を代表しての意見表明を締めくくったワンフレーズです。

 あれから3年…、公正に評価しようにも、“ない”予算は“ない”…のだそうです。
 灯油難民で寒さに耐える老人がいるのに、外国の戦争に後方支援として給油活動ができる予算があっても…?
 道路を造る財源であるはずなのに、職員の厚生を目的として今は物品庫に眠る備品を購入する予算があっても…?
 ずさんな管理でヒンシュクをかった、社会保険庁の早期退職者の退職金を払う予算があっても…?
 ナントカ還元水の装置をつけたり、事務諸費の水増しが認められる予算があっても…?
 私達農夫の汗に報いる十分な予算は“ない”のだそうです。
 真面目に計画生産や、生産調整に取り組んでいる生産者の汗を評価する予算は“ない”のだそうです…

 でも、それは仕方のないことでしょうか?だったら、政治とはなんなのでしょうか?

 いま、牛乳は…、水よりも、ガソリンよりも安い…、その牛乳は、ウシの生命と酪農家達の汗と涙の結晶です。
 その牛乳は、あの議員会館の会議室のテーブルの上では、ホテルの雛壇では、一滴たりとも生産することはできません!

 私達の食は…、日本の農業はどうなってしまうのでしょう?
 私達、土塊に生きる農人は何に向き合い、どうすればいいのでしょう?

 いま、こうしている間にも、酪農郷が…豊だった故郷が枯れ進んでいるのに…

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