《新・新風青嵐の放談コラム‘07》春陽青新の最終回号(その4)

森羅の夢に果てるまで

「その土塊の手は」

 4月8日
第57回、道青協定期総会を無事終了〜青年卒業の引退試合は当夜の延長戦の方がむしろ劇場チックな泣き笑いを呈して、そっとマウンドにボールを置いてくるのでした。

【北の大地の万歳】
「人生のさいころの目なんて、どんな風にふられるかわからないもので、今日関東圏は春の大嵐だそうで、部長研修の講師をお願いしておりました神薗先生が穴を開けてしまうことになりました。
 平成8年、単組の副部長からこの道青協総会に出席するようになって10年以上を数えましたが講師がこられなくなるアクシデントは初めてでございます。
 振り返りますと、一昨年の総会では僚友、上川の坂本副会長が病気で倒れ、昨年は越後副会長が御子息の緊急手術で欠席され、呪われの道青協総会とささやかれておりました。杉山さんが道青協の役員をつとめるようになってからの不幸続きでございます。

…が、まずもって、退任される役員の皆様には自己と家庭を犠牲にしながらも、多くのものを手に入れた青年部活動ではなかったかと思います。自身もその経験者でありますから心情、理解するところではありますが、今後はいち地域人、いち農業人、いち家庭人として益々の御活躍を期待すると同時に、感謝と労いの言葉を述べるところであります。
たいへんご苦労様でした。ありがとうございました。

 さて、道青協役員として6年間このステージにかかわりを持つ者でありました。この卒業の時に、お伝えしたいこと、お話させていただきたいことは既にその頃から準備をしてきたつもりでした。
 尊敬する上川地区は和寒の中原先輩(H15、第26代道青協会長)がこの総会の締めに『一度、座ってください。』と言った心情がこの立場にあって、わかるものでありますが…、会場延滞料をとられるような無粋なことは慎みたいと思いますが、そんな想いのかけらで言葉が多くなるのを了としていただきたいと思います。

 実は、毎年この時期に気になりつい見いってしまうのが僚友、盟友たちの“手”であります。
 昨日も、総会前段の打合せで役員の皆さんと懇親会をさせていただくのですが、そのビールを注ぐ手、注がれる手の逞しさに男ながら見とれてしまうのですが、けして美しくない土塊の農夫の手が私の、私たちの周りにたくさんあることに今更ながら気づかされるのです。

 365日、牛を愛でる酪農家、畜産家の盟友の手…、融雪財を撒く手…、肥料を動かす手…、モミを播く手…、種芋を選別する手…、オイルまみれの手、そしてトラクターのハンドルを操る手…
 その逞しい春を動かす手は、希望の大地を耕す百姓の手であり、愛する者の笑顔を支える手です。
 その手は愛する郷土を育み、この国の自然や生き物や季節の機微を表現できる豊かな感性を持った日本人の手です。
 その手は…けして、殺戮兵器を作る手やミサイルの発射ボタンを押す指にしてはなりません。
 その手は…、トンチンカンなことをいう政治家たちに『NO!』と、書ける指や手でなくてはなりません。
 その手は…、北の大空と大地を奏でる繊細な手でなければなりません。
 その手は…、上川の三連覇を阻んだ十勝を倒す互いを研鑽する手でなければなりません。
 青年であれば、せめてその手は、…愛する人の肩を抱き…、髪をすき…、頬をさする手であって欲しいと思います。
 そして、その手は新年度、トップリードする越後新会長の背中を押し、踏み出す勇気を与える手であって欲しいと思います。

そんな想いをこめまして…、総会次第では万歳とありますが“ガンバロー”が定番となっております。ここで、本来なら『足を肩幅に開き、左手は腰に、右手は肩口にかまえて!』と、なりますが、道青協27代の会長はあえて禁をおかそうと思います。

 『北の大地の万歳』で締めくくります。私のやるとおりに!私のやるとおりに!私のやるとおりに!北の心を一つに、合の手を入れていただきながら、よろしく御唱和のほどお願いいたします。

“それでは参ります!かまえて!しっかり、かまえるまでやらない!かまえて!来賓の平尾常務もかまえて!…ヘソ下三寸丹田に力をこめて、大地に踏ん張りかまえて!(おー!)
 宗谷、頑張るぞ!(おー!)留萌、大丈夫か!(おー!)上川、頼むぞ!(おー!)空知、やるぞ!(おー!)後志、任せたぞ!(おー!)石狩、いいか!(おー!)道南、頑張るぞ!(おー!)日胆、いいぞ!(おー!)北見、やるぞ!(おー!)釧路、頑張るぞ!(おー!)根室、佐々木を頼むぞ!(おー!)十勝…、ありがとう!(おおー!!!)みんな頑張るぞ!(おー!)北の大地を耕すのは俺たち青年だ!(おー!)頼むぞ!(おー!)負けないぞ!(おー!)頑張るぞ!(おおー!)頑張るぞ!(おおー!!)頑張るぞ!(おおおー!!!)
…ばんざ〜い!(ばんざ〜い!)ばんざ〜い!(ばんざ〜い!!)ばんざ〜い!(ばんざ〜い!!!)”

 ありがとうございました!」

【石狩のシモベとなって】
『300人の皆さんを前に、北の大地の万歳…完璧だ…』
最後のステージを、プルプルの太ももで終わらせて意気揚々とひな壇をあとにしようと、席を立つと石青協の前会長、熊崎氏が
「ひらさん…石狩忘れていましたよ!」
…一瞬、気を失いかけました。(H16、道青協全道大会の出席忘れが、走馬灯のように…)
 大恩ある石狩地区に対し、なんたる失態!最後の最後に!泣きそう…台無し…やっちゃったぁ…

 総会終了後の慰労会は、道青協、石狩は同じ居酒屋の4階と5階。さっそく、石狩にうかがい畳に額をこすりつけ、土下座をしてきました。
「私これより、石狩地区の一盟友として一から出直しをさせていただきます!石狩地区のシモベとなって汗をかかさせていただきます!申し訳ございませんでした!」
大ブーイングのなか(ひらさん、2回目だよね〜やっちゃったね!)恐縮の石青協新会長、吉田氏(H14年度、青年の主張全国制覇)をはじめ、幹部さんたちに
「いいですよ、ひらさん…手をあげてください。ネタとしては、かえってよかったかもしれません。石狩、忘れないようにしっかりやらなければならない、と言うことなのでしょう…やり足りなかったことを、やっていただいて、併せて乾杯の発声をしていただければそれでいいですから…」

 心の中では、号泣しながら…
「では、では、では、大変恐縮で、僭越ではありますがあらためて御唱和のほどお願いいたします!
 かまえて…!石狩、ごめんな!石狩、大好きだ!石狩じゃなきゃダメなんだー!万歳!
万歳!!万歳!!!」

 新会長、越後氏で29代、地区別出身ですと空知が9名、そして2番目に多く輩出しているのが、石狩の5名!(上川5名、北見、十勝が4名ずつ…)まもなく60歳の誕生日を迎える道青協の中にあって、空知と双璧をなす石狩地区青協!とにかく元気!

 懇親会終了間際、「石狩が締めるから来い!」と、お誘いをうけ交流させていただきました。
…にしても、よくも色々と見られていました。
「去年の大会、アームレスリング、上川三連覇阻止は余程気分が良かったのでしょうね〜あの、ひらさんの両こぶしを突き出すガッツポーズ!かっこいいスよね〜」
…恐縮…
 “喰え!”が活動実績でH16年度の全国大会出場を果たした彼らは、
「岩手は遠野の単組が“満紅りんご”の発表で、ひらさんツボにはまりまくりで、中田顧問(当時、米の副会長)がたしなめていたのは、まるでバカ殿と真面目老中のやり取りみたいで、たまりませんでしたよー!」
…よ、よ、よくみていたね〜恐縮…(だっ、だっ、だって、放送コードギリギリスじゃん!)

「でも、“喰え!”看板もそうだけど、君たちの活動実績もインパクトあったね!」
に、次代を背負う若者たちは胸を張ってこう応えるのです。
「中国、インドの経済成長でこれからは今までのように食料が簡単に手に入らない時代がきます!“喰え”なんて言わないですむ時代が必ずきます!」
そう…僕ら土塊の農夫の手が、大地に落とす汗が報われる時代が来ることを信じます。

 結局、浴びるほどのビールのイッキを何度もやらしていただき、再度の万歳でシメ…
 太もものプルプルが、心地いい青年卒業の謝恩会の夜。ススキノの、ネオン街は芋虫バッチのお兄ちゃんたちで溢れかえるのでした。

【夜の会議編〜ドキドキしたい…】
 総会終了後、会場への移動中、中田顧問いわく
「青年部会議に出席しても、もうあまりドキドキしなくなったね…それだけ歳をとったということかな〜」
 そうだね〜うんうんと、あいづちをうちましたが、実は総会最後の締めはカミカミで、そのせいもあってドッキドキッ!胃袋に穴が開いたかもしれません。そもそも、カミカミが若くない証拠、歳をとったというなら半分は正解ですが、それでもドキドキはどんなときも忘れないでいたいです。

 2次会は地区会長当時からお世話になっている、クリスマスナイトのみバニーちゃんに変身する某マテリアル。なじみのホステスさんたちも、すっかりお嬢ちゃんからオネエさんになり(そりゃそう…僕らだってオニイチャンからオジチャンになったのだから〜)ショータイムのあと、
「本日、御卒業される方がいま〜す。ナカタ顧問!ヒラ参与!」
の、ビックサプライズ!…花束が贈呈されケーキが振舞われました。感謝…ただ、感謝のみ…
 ちなみに、中田顧問“放置プレー”が得意で、どこでも8割がたは劇睡タイムで(しかも、足首の靭帯伸びちゃうよ〜みたいなカッコウで…)今回のショータイムも爆睡でしたが、サプライズには目をパチクリさせて大喜び!
「よかったね〜〜〜」
ホント、よかった、よかった…
「ヒラさぁん…この芋虫バッチつけてくるのも、今日が最後なのねぇ…グスン…」
胸の奥に色々な想いの塊が込み上げてしまって、たまりませんでした。

【脱・もてないオトコ宣言から悪党宣言へ】
 道青協会長卒業間際のH18年3月
 当時国会は民主党、永田議員のガセメール問題で紛糾する中、ちょうど同じころ、北は新得のタイラさんのところでは、銀座のホステスメール事件が発覚しての騒動の顛末、道青協コラムH17最終回おまけ号で紹介していますが、危険なドキドキはもちろんそれ以前も、その時も、ありませんでした。(神様に誓って潔白!最高裁まで行ってもいいもん!)
 なんだかんだ言って、我が家のミセスヒラリーは、“本物”のご当人同様“不適切な関係”に寛容ですが、恐妻家を言ってはばからないのは、私が言うほどもてないことを知っているからで、…そもそも、そんな“関係”があったら社会的にも、道義的にもそのポジションは務まらなかったはずです!(えへん!…って、えばっていいのか、わるいのか…?)

《コラムinコラム》
〜ちなみに、“ヒラリー”とは、それなりの立場にあるご主人より有名な奥様の総称。もちろん、ヒラさんの奥さんだからヒラリー…は、後付の語呂合わせです。

 H16、道青協の会長をつとめたとき、かかる政策議論の当事者だったこともあり、メディアなどの露出度が多かったのですが(NHKニュース10とか…)、その年の秋には、某民放のゴールデンタイムの特番(もしもツアーズ)に家内は出演して、いっきにスターダムに…翌年の年賀状に書かれる『TV出ていましたね〜』は、彼女の方が私の何倍にも!
「ヒラさん映ってたんですか〜?」
…実は、道青協ツナギを着て、背中だけひっそりとジャガイモ畑の隅の方に映っています。(顔、カメラからはみ出すみたいなので…)

 ついでに、ヒラリーネタをもう一つ
 ちょうどその頃、中学校に上がった長男が英語でつまずきました。
 本人いわく
「なんで、“犬”を“Dog”…d・o・gって覚えなきゃならないのさ〜!」
…う〜ん、わかるけど語学ってそう言う学問。
「あのね〜、お前がお父さんくらいになったら英語の読み書きなんて当たり前で、第二外国がフランス語?ドイツ語?中国語?それともハングル?…って時代が必ず来る!苦手なのはしょうがないけど英語、嫌いになるな!」
「うううううう…」
 釈然としない様子…

 ちょっと肩の力を抜いて上げようと披露するエピソード
「今の総理大臣、誰?…そう、小泉さんね。その前は?…そう、森さん。ん?潜水艦の時、ゴルフしてた?そうそう、良く覚えているね〜
 その森さん、アメリカのクリントン大統領に挨拶に言ったのね〜就任の挨拶に〜どんな挨拶したらいいか、側近と相談したのさ…日米関係がフレンドリーなのを強調してこう言うのはどうでしょ〜と…
森『ハウ ワァ ユウ?(やあ!元気かい?)』
クリ『アイム ファイン!アンド ユウ?(元気だよ!君は?)』」
森『ツウ ミー(僕も元気さ〜)』
よし、それでいこう〜となってご対面…握手をして…
森『フウ アー ユウ?』
クリ『(えー?あんた誰って…?アメリカの大統領しらんの?って、ここはアメリカンジョークで切り返すのがセオリーね)アイム ヒラリーズ ハズバンド(ヒラリーのダンナだよ〜俺より有名なんだぜ〜)』
森『ツウ ミー(僕もだよ…)』
…お、お、お前もか〜?…
…まっ、我が国の総理大臣経験者にしてそうなんだから、あまり肩肘はらないでやったらいいよ〜なっ、息子よ…。ちなみにその方、文部科学大臣もつとめていたよ…そもそも、まあこの国の英語教育なんてせいぜいそんなもの…あせらず、心を切らさずしっかりやりなさいな〜なあ、息子よ…。

 このエピソード、マダムヒラリー(“本物”じゃない方)はけっこう気に入っていたりします。ちなみに、我が家のヒラリー夫人、蠍座のB型、乙女座男子にはなぜかいつもチクチクチックです。〜

 そしてそれ以降のそれは…、また、別のステージで語られるべきでしょうか…
 甘く危険なドキドキ(もちろん、普通のドキドキも〜)に巡り合っての泣き笑いは、普段なら見過ごしてしまいそうな小さな真実に気付かされました。ただ、楽しい…と言ったことだけではなくて、たとえば自身がお爺さんになったとき、『あの頃のあの出逢い…、あの人達…、あの煌めき…は、かけがえのない宝物だったね…』と、振り返ることができそうです。
 …が、それもまだまだ夢の途中なのでしょう。

 眠そうに、ケーキを頬張る中田顧問いわく…
「これで荷物が軽くなった気がするけど、これを機会にやりたいことがあるんだ〜!」
「なに?なに?(放置プレーの次は、もしかして緊縛プレー?)」
「金髪にしようかと…一度で良いからやってみたかったのさ〜」
「んんー!?(意外!!!)やろうか!パツキン!(中学校PTA会長の立場もありますが…)」
「やろう!やろう!」

 モテオ君の中田顧問はともかく、青年卒業と同時にキンパツの悪党宣言…
 はてさて、同性にも、もちろん女の子にもモテモテになるでしょうか〜
 “不適切な関係”に寛容なヒラリーも、新時代のJA女性部リーダーを託される立場としてパツキンは許してくれないのだと思うのですが…(前回、執行猶予処分だったから、今度何かしでかしたら、実刑だもんね〜)

 ウサギ狩りをしていたつもりが、いつの間にかウサギになって、やがて“寂しくて死んじゃうんだ”と…想っていましたがなかなかしぶとく生きられそうです。

 人生の無情に笑い、青年を修練したキラキラしたシーンを、またいつか、おそらく別なステージで、楽しく笑顔でお話しできることを…

 新風青嵐の放談コラム、これにて幕を閉じさせていただきます。
 長々のご愛読、ありがとうございました。おつかれちゃんでした〜

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