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食卓の笑顔を支えているもの
〜ひら農園のこだわり〜

畑

【知らずに食卓に並ぶもの…北海道畑作】
ひら農園は、十勝管内は新得町で“畑作野菜農家”を営んでいます。
“畑作”〜?
どんなものを作っているか、イメージできますか?
小麦、豆類(大豆、小豆、菜豆)、澱粉原料用馬鈴薯、甜菜…
これらを称して“畑作物”(はたさくもつ)と言います。

そう…幾通りの加工を経て、皆さんの食卓に届くものです。
小麦は小麦粉になり、日本麺(うどん)や中華麺やパンに…
大豆は豆腐や納豆に加工調理されて…
小豆、菜豆(インゲン豆)は餡や煮豆になって…
澱粉原料用馬鈴薯は片栗粉になって、練り物やスナックに形を変えて…
甜菜は砂糖になり、基本調味料や清涼飲料水、菓子になって…
皆さんの食卓に並ぶものです。

例えば、北海道で生産されている甜菜糖(ビートシュガー)は、国産砂糖の85%、国内で消費される甘味原料の3割を占めていますし、国産小麦の70%は北海道産小麦で、その内の40%以上が十勝産のホクシン小麦です。

つまり、それとは知らずにメイドイン北海道、メイドイン十勝の畑作物を皆さんは食べていることになるのですが…

小麦粉

【北はやさしいから…】
その畑作物は、世界貿易上重要品目としてトレードされているもので、北海道開拓来から適地適作として選抜育種され、北海道農業にとっては無くてはならない作物達…
過去、現在と『より実需者に愛され、より安定的に、より安価に、安全安心な原料』を供給することを産業使命として産地を形成し、畑作生産者は生産責任を果たしてきました。

その結果、現在収量水準は先進地EU農業と肩を並べるまでになりましたし、品質も例えばホクシン小麦ですと、世界最高峰と言われる“ASW”(オーストラリア・スタンダード・ホワイト)と感応試験で比べてみても美味しいと評価されるものを生産しているのです。
さらに、耕作規模においては世界第2位の農業王国フランスの平均経営規模(40ha)にこそおよびませんが、同様の形態では北欧農業またはスイス農業の平均規模(約20ha)を上回るまでになっています。
(ちなみに、当農園の経営面積は33haでほぼ十勝管内の平均です。)

甜菜糖

ところが…
“畑作物”は消費者、生活者からみてずいぶん遠いところで生産され(実需者を仲介するわけですから…)、形と名前を変え(サトウキビはイメージできても、甜菜はイメージできませんよね?)、皆さんの口に入るものですから、私たち生産者や産地の汗や努力を知る機会が極端に少ないと思うのです。
もちろん、それは逆の言い方もあるわけで、皆様の声が現場に届きにくい…そんな生産環境が北海道畑作の現状です。

さらに、畑作物は重要品目として国の統制下にありましたから、市場性というものに対し生産者はさほど敏感ではありませんでした。計画生産を前提として、価格支持政策によって制度上“保護”されていたことに安穏として、行動し発言することを他人任せにしていました。
「私たちは、こういう努力とこういう犠牲を払う覚悟だから、国はこういう施策で産地や生産者の汗に報いる政策をするべきだ!」
そんな理論武装と自己発信を放棄してきたのです。

このことを、ある方は
「結局、オカミに飼い慣らされ、強いものに搾取されている…」
〜と、表現し、またある方は
「北は優しいから…やることやっているのに、でるところにでて言わないし、おとなしいから…」
〜などと、揶揄されてきました。
寡黙に土に向き合うことが農夫の美徳とされてきたのは、それはそれで意義のあることかも知れませんが、それらのことで、知らずのうちに生産者と消費者、現場と食卓の距離を広げていったことが、私たちにとって大きな焦燥感として鬱積していくのです。

『より安定的に、より安価に、安全安心で、そこそこ美味しければ国産にこだわらない…』
原料型作物を生産する畑作農家は、そんな言葉に反論できないでいたのでした。

【美味しいの笑顔に出逢って】
そんな時…
じゃがいもほり 今から、15年ほど前に、町内のスポーツ少年団(当時、私は指導者として関わっていました。)のこども達や母集団の皆さんが〜
「ひら先生のところは農家でしょ?忙しいでしょ?ジャガイモ掘りとかお手伝いをかねて、農作業体験させてもらえませんか?」
〜と、ミニ援農隊を結成して我が農園にやってくるのでした。

こんな田舎でも、農家でない子はジャガイモがどんな風になっているのか〜?なんて、知らなかったりしますから教育的要素をからめて、収穫したジャガイモやトウモロコシや枝豆をゆでて食べながらの反省会をするのですが…
「おいしい!おいしいねー!おかあさん!」
「う〜ん!ほんと!おいしいね!」
「お土産にもらって、今夜はカレーにしてね!」
そんな笑顔をかいま見て、私たちも美味しい気分に…!

『こんなことを通じて、こども達に食の大切さや農業の素晴らしさを伝えることが出来ないだろうか…、こども達のお父さん、お母さんに畑作農家の現状を共に考えてもらい、相互理解がはかれないだろうか…』

このことが、現在当農園で実施している、産地直接販売、体験農園のきっかけとなるのです。
その後、スポーツ少年団では秋の農作業体験を“野遊会”として恒例事業となるのでした。(今では若い農業後継者の後輩指導者が引き継いで実践しています。)

まだ、グリーンツーリズムだとか、食育だとか、地産地消だとか、そんな言葉がポピュラーでなかった時でした…

【野菜達を愛でて】
野菜達 さて、皆さんにお届けするそんな野菜達は、実は自家用野菜の延長です。
農家はJAや市場などの販売用の他に、自家用野菜を作っているのが一般的で、かなりの種類の野菜達を作っています。それも、穫れなかったら困るので、結果的に自家消費以上に作ってしまうものです。
ちなみに、自家消費分には独立しているこども達や親戚、友人、知人などに配るものも含まれています。(いわゆる水田農家の“縁故米”などと言われているのと一緒です。)
でも、それ以上に穫れすぎてしまったもの…それは、廃棄しますが…やはり、ちょっともったいない…

当農園はそんな、“ちょっともったいない”自家用野菜を、欲しいという方に“お裾分け”的に食べてもらえたら…とういのがコンセプト〜産直商品や収穫体験する野菜達は、そういった野菜達です。

ここでひとつ、皆さんに考えていただきたいのは『自家用野菜』の意味と、それを提供させていただく意義です。
“自家用野菜→無・低農薬→安全・安心”という考えは“販売用→農薬散布→危険”という図式の裏返しになるかもしれませんが、果たしてそれは正しく物事を捉えているでしょうか?

そもそも、『農薬=危険』というのであれば、一番リスクが高いのは誰でしょうか…?

それは、現場で農薬散布している生産者自身です。
例えば、無農薬のものが見てくれが悪くて(虫食いや病気で)、商品価値のないものになってしまうことに抵抗を感じることが出来なければ“農薬=危険”を言うのはフェアじゃないと思います。
更に言えば、農薬自体けっこう高価なものです。
規模の大きな専門作目の生産者レベルで小規模の自家用野菜も農薬散布していたら、スーパーで買ってきた方が安くなってしまいます。
少なくとも、国(農水省)の定めることに従って“正しく”使用された農薬散布・防除により生産された農産物を、「危ない!危険だ!」とするならば、私たち生産者は報われません。
もっとも、“国”が定めるから信用できないし、あてにもできない…は、心情的にはありますが、ルールを守っている者が貶められることがあってはならないと思います。あるべき食料行政の姿を確立することと、『農薬=必要悪』を混同してはいけないのではないでしょうか〜?

つまり…
ひら農園の野菜達はかける必要のない農薬はかけていない…少々見てくれが悪くても我慢できる範囲で農薬をかけていないのです。
ただし、雑草だらけ…、病気だらけ…、虫だらけ…で、収穫皆無〜では、困りますから、最低限の範囲で農薬は使用しています。これを、当農園では“省農薬”と言っています。
ただし、結果的に製品歩留まりが落ちるかもしれませんし、厳選していても小売店に並ぶものと比べると、見劣りしてしまうかも知れません。

それでも、そんなリスクを共有できて、ご納得、ご理解できる方だけにお届けできる野菜達なのです。

もちろん、そんな野菜達を毎日食べられるにこしたことはありませんが、全てのヒトが、いつでもそれを適えることは出来ません。
たまに手にするひら農園の野菜達を愛でるとき…そんな、生産現場や生産者の想いがあることをかみしめてもらえれば…食の在り方や、豊かな食とはなにかが、少しずつ見えてくるかも知れません。

【土のチカラ】
『とっても美味しかったですよ!また、来年もお願いしますね!』
そんな皆さんの声の源流は、私たちが立っている“土”から生まれてくるものです。

その“土”は、油断してちょっと手を抜いたりすると、すぐダメになってしまいますから、『土づくり』は私たち農夫の永遠に取り組まなくてはならない自己課題です。
目指すは“健康な土”…“美味しい土”…“穫れる土”…
作物が病気や害虫に負けないで健康に育ち、美味しくて、たくさん収穫できる「土づくり」のために当農園で取り組んでいることは、『輪作』、『有機物』、『緑肥』、『ミネラル』の4点です。

アオハタ

『輪作』は年次毎に作付けする作物の種類を変えていくことです。
例えば畑作物ですと、1年目・小麦→2年目・甜菜→3年目・馬鈴薯→4年目・スィートコーン…
というように、ローテーションする栽培方法です。
特定の種類の作物を作り続ける(連作)と、土中の微生物性、化学性など色々なバランスが悪くなってしまいます。輪作はそれを回避する技術でもあります。
(作物によって、病気や害虫の種類が違うから…連作すると偏ってしまい、その発生密度が増していきます。)

『有機物』は、酪農家の麦桿堆肥と肉牛農家のバーク堆肥をブレンドしたものを、年間15トンダンプにして50〜60台ほど、畑に還元、散布します。
地力向上には欠かすことの出来ないアイテムが“牛のウンコ”なのですが、それは土壌の微生物性をより豊かに、そしてバラエティーするものです。

『緑肥』は、小麦収穫後(8月)のエン麦緑肥です。その年の秋にすきこみ次年度の耕作に備えます。
作物に吸収されやすいかたちで分解が進み、土が団粒構造になって保肥力、保水力が向上します。
また、干ばつなどの影響を受けにくくなります。
さらに、加工用(缶詰用)スィートコーンは実以外の茎葉を全て鍬込むので“緑肥的”作物となり、土を膨軟にします。つまり、土壌の物理性を改善する効果が高いのです。

『ミネラル』は、微量要素資材をファームブレンド肥料(単肥配合)に添加します。
土壌の化学性の改善に、土壌診断は欠かせませんがその数値をより理想に近づけるために、単肥配合を実施しています。
堆肥・有機物還元や緑肥栽培では追いつかないミネラルの補給も作物達の健全な生育には欠かすことが出来ません。

無農薬、省農薬に耐える自家用野菜達は、実はそんな“土づくり”が素地としてあるのです。

一年かけて健全に育った作物達は…、『土づくり』に取り組んできた畑から育った野菜達の美味しさは、決してウソはつきません!
何より、皆さんの食卓の笑顔がそれを証明してくれています。

【土が育て、土に育てられる】
ぜひ一度、そんな野菜達を召し上がってみて下さい。
そして、太陽に喜び、風に笑い、雨に育つ北の土根に生きるものたちを想像してみて下さい。
根雪をとかす情熱を持った農夫達の土塊の手を想像して下さい。

ぜひ一度、北の農園にいらして下さい。
私と、私たちと、皆さんが、土と共に生き、土を知り、土が育て、土に育てられていることが解るはずです。

大地に向かい合うとき、食卓の笑顔を想像します。
キッチンに立つとき、生命の尊さを感じます。
その、笑顔と生命を支えているのが『土』です。
感じてみましょう・・・『土』の温もりを、あなたのよろこびにつながる大地の恵みを…

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